山口二郎(北海道大学法学研究科教授)
 この十年、いろいろな改革がありましたが、選挙制度改革、中央省庁再編な ど、それらはほとんど外形だけの改革でした。政治の腐敗や官僚の天下りが相変 わらず続いていることに示されるように、これらの改革は本来の課題に答えるも のではありませんでした。いま議論されている大学改革も、こうした形だけの改 革と同じものです。
 いや、日本の学問を破壊し、国民の高等教育を受ける機会を狭めることによっ て、むしろ現状をさらに悪化させるものになるとさえいうことができます。
 仮に独立法人化法案が成立すれば、国立大学は「独立」法人ではなく、「従 属」法人になるに違いありません。その理由はいくつもあります。たとえば、大 学は中期計画を作り、文部科学大臣の認可を得なければなりません。そうする と、いままでと違い、研究や教育の中身にまで、大臣(実質的には文科省の官 僚)の統制が及ぶのです。また、すぐに金儲けにつながる研究が優遇されること も確実です。学者が、官僚の権威におびえ、営利に走らされるようになっては、 研究、教育などできるはずはありません。日本における「知」の世界は貧弱なも のになるでしょう。
 本来の大学改革の課題には逆行する独立法人化を、世論の力で廃案に追い込む べきです。
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