赤川次郎(作家)
経済的な事情から、大学へ進学せずに就職した私は、「大学生活」というもの に、長いこと憧れを持っていた。
「大学」とは、何よりもまず「自由な空間」であり、その中で若者たちが存分 に想像力や情熱を発揮できる場所だった。ところが、今日本の教育からはどんど
ん「自由」という酸素が失われつつある。
小学生に配られた「こころのノート」から「国立大学法人化」まで、これは一 つにつながった「自由を奪う政策」である。酸素の薄くなった空間では、人は独
創的な発想などできるはずがない。
すぐれた学問研究の成果は、国や時代を超えて人を幸福にする。たかが数年し か在任しない首相や大臣よりも、それは遙かに高い存在なのだ。大学人はプライ
ドを持って、この「法人化法案」に抵抗してほしい。
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